人に優しい「持ち上げない介護」(介護・くらしのレシピ集)

このレシピのポイント

  • 負担を軽減し腰や肩を痛めない介護の方法があります

  • 目的に合った福祉用具を適切に活用し腰痛予防!

腰痛や肩を痛めやすい介護者

「介護」と聞いて、どのようなイメージを抱きますか?
要介護者をベッドから起こしたり、体を抱え持ち上げたりして、車いすに移す場面が思い浮かばないでしょうか?
実は日々の介護で、「腰や肩」を痛めてしまう人は少なくありません。
その理由の1つは「間違った体の使い方」。力ずくで体を持ち上げたり、抱え上げたり、引きずったりするケアが原因です。力任せのケアは、「勢い」があり「姿勢が不安定」。要介護者は恐怖感を抱きやすく、介護する側・される側双方にとって、負担がかかり、体を痛める原因にもなるのです。
このような介護方法をやめることは、普段の生活においても、腰痛を予防し、負担を軽減するのに役立ちます。

かかえ上げない・持ちあげない・引きずらない介護(ノーリフティングケア)

腰や肩を痛めるもう一つの理由は、適切な福祉用具を使用しないことです。
実は介護の現場でも、十分に活用されていない状況があります。
「福祉用具を使うと時間がかかる」「機械任せになり、要介護者のもつ力を使わせないため、自立を阻害する」という考えかたが背景にあるようです。
これらに対し、介護される側・する側双方にとって安全で安心な、かかえ上げない・持ちあげない・引きずらない介護を「ノーリフティングケア」と呼びます。
ノーリフティングケアでは、間違った体の使い方をなくし、要介護者の状況や、目的にあった福祉用具を選択し、適切に使うことがポイントです。体格差や年齢に影響されず、誰がやっても同じように介助ができ、要介護者にも適切に力をつかってもらうことで、自立をより促進させる効果があります。

 

“腰の疲れが少なくなった” 現場からも評価が高いリフト

私たちの施設で“リフト”を試しに導入したときのこと。当初介護職員からは、初めて使うリフトに不安を隠せない様子でした。ところが半年ほど経つと「気が付いたら以前より腰の疲れが軽減している。」「他にもリフトを使用したいご利用者がいる。」との声が聞かれるように。現場の評価が高いことから、今ではリフトを日々活用しています。これからも「ノーリフティングケア」を推進し、要介護者に緊張や恐怖心を与えないケアを、そして職員の体に負担をかけないケアを追求していきます。

上の写真にある福祉用具のひとつ“スライディングシート”。
ご家庭で活用することで、体への負担が軽減されることがあります。
ご参考になれば幸いです。

社会福祉法人生活クラブ風の村採用サイト
生活クラブ風の村 – 採用・求人・仕事サイト (kazenomura.jp)

 

この記事を書いた人・法人について

外口 恵さん

社会福祉法人生活クラブ風の村いなげ 施設長

理学療法士として病院・介護老人保健施設で勤務した後、社会福祉法人生活クラブに入職。 小規模多機能型居宅介護・サービス付き高齢者向け住宅で介護・リハビリテーション職員として働き、デイサービスの管理者勤務を経て、現在は風の村いなげ施設長。 教育研修室メンバーとして法人内の教育研修にも携わっています。

おススメの記事