「介護される側とする側の架け橋として。 訪問介護で活躍するサービス提供責任者の役割。(「生協の介護・福祉」のプロ紹介)

利用者の自宅にてホームヘルパーが一人ひとりに合わせた介護を行う訪問介護。その中でも、介護の実施計画の立案、介護スタッフの指導・管理などを行うのが「サービス提供責任者」という仕事だ。ケアマネージャーとの連携や、ヘルパーと利用者の調整役など、事業所の要とも言える重要な役割を担っている。今回は、そんなサービス提供責任者として活躍する生活協同組合コープこうべ「在宅介護サービス鈴蘭台」に勤務する木村智子さんに気になるお仕事についてお話を伺った。

ヘルパー×サービス提供責任者としてのバランスが
よりよい介護につながっている。

――現在の業務内容を教えてください。

今はヘルパーとしてご利用者様のお宅へ伺い介護を行いつつ、サービス提供責任者として各ヘルパーさんとケアマネージャーさんとの調整などを担当しています。

――サービス提供責任者としてのお仕事は、例えば訪問される方の介護内容を決めるということが主なのでしょうか?

基本的にはそうですが、「在宅介護サービス鈴蘭台」ではどのサービス提供責任者も大体は訪問介護にも出ていて、半々ぐらいの割合で仕事をしています。ヘルパーとしての業務も行いながら、一方では業務内容を決めたり、ご利用者様からキャンセルの連絡が入ったら、ヘルパーへの連絡業務を行ったり…という感じですね。

――二つの面でお仕事をされるというのは、大変な部分もあるのでは?

私は元から介護をすることが好きなので、事業所内で事務仕事をして、ご利用者様のご自宅へ伺って…と半々でできる環境は、個人的にはよかったなと思います。ずっと籠りっぱなしの仕事は向いていないと思うので。

ご利用者様とヘルパーにとって、
いい介護環境をつくるために。

――サービス提供責任者として、どんなことを意識してお仕事をされていますか?

正直、調整役としての大変さはあります。ご利用者様の「こうしてほしい」、介護を担当するヘルパーの「こうしたい」、制度的な「こうしなきゃいけない」など、色々な制約がある中で、いい落としどころを考えるのがいつも苦労する点です。
例えば「電球を変えてほしい」というご要望一つとっても、その作業をヘルパーにお願いしたときに、もしそのヘルパーが落下して怪我をしてしまったら…という部分にまで考えを至らせて介護の内容を考慮しなければいけません。些細な作業でも様々な要素を鑑みて判断することを大事にしています

――介護の内容はご利用者様からの「こういう介護をしてほしい」という声を汲んで、事業所内で決めるのでしょうか?

基本的にはケアマネジャーからの依頼に基づいて、ご利用者様の声をもとに介護内容を決めますが、迷ったときには他のサービス提供責任者の方に相談します。私よりも先輩の方が大勢いらっしゃるので、「こういった事案があるんです」と、今までのご経験からアドバイスを頂くこともあります。

また月に一回、事業所内のサービス提供責任者が集まって行うミーティングもあり、お互いの利用者さんの状況を話し合ったりもしていますし、普段から何かあったら「今こんなことがある」というやりとりは行っています。

――日頃から同僚の皆さんと密に状況報告や相談を重ねながら、ご利用者様やヘルパーさんにとっていい環境をつくることが大事なんですね?

そういった調整の場面でも、机の上で考えるだけじゃなくて普段からヘルパー業務を行っていることが役に立っているんです。自分の目でご利用者様の状況を見られる利点もあって、二つの役割で業務を行うことがいい作用を生んでいると思います。

 

柔軟に対応してくれる職場だからこそ、
安心してキャリアアップできた。

――サービス提供責任者という職種を担当されるようになるまでは、どのように介護の仕事をされていたんですか。

私が「在宅介護サービス鈴蘭台」でヘルパーを始めたのは、子供がまだ生後半年ぐらいの頃に家にずっといるのが少し辛いなと感じる時期があり、「短い時間だけでも働けたらいいな」と思ったことがきっかけでした。はじめは短時間の登録ヘルパーとして週1回1時間の勤務から始まり、職場と相談しながら徐々に勤務時間を増やしていきました。非常勤のサービス提供責任者としての勤務を経て、昨年には常勤のサービス提供責任者を任せてもらえるようになりました。

――生活の状況に応じて柔軟に対応してもらえる職場はとてもいいですね。サービス提供責任者という責任ある職種に就こうと思ったのは、キャリア的にもやってみたいお気持ちがあったのでしょうか?

そうですね。学生時代から介護・福祉のことを学んでいて、卒業後は特別養護老人ホームに就職したのですが、いずれは在宅で生活されている方を支える仕事がしてみたいと思っていました。そんな中この「在宅介護サービス鈴蘭台」でサービス提供責任者という職種に就かせてもらったので、今はやりがいを持って仕事に臨めています。

――職場の環境に感じる魅力はありますか?

魅力は働く皆さんの人の良さですかね。まだ子供が小さいので、急にお休みを頂くこともよくあるのですが、嫌な顔せずに「休んでいいよ」と言ってくださるところとか。コロナがあって以降、ちょっとした風邪でも大事をとって休まなきゃいけないことも多くなったので、そんな時にも職場の温かさが有難かったですね。

 

共に働くヘルパーの変化に気づき、
手を差し伸べられる存在になりたい。

――お仕事をされている中で、やりがいを感じる瞬間はありますか?

ヘルパーとしては、ご利用者様と何度かお会いする中でちょっとずつ打ち解けて、「あなたが来てくれてよかった」というお言葉を頂けたときなんかはとても嬉しい気持ちになります。

私はお風呂介助が割と好きなので、歩行が困難なご利用者様でも、担当のヘルパーやご家族が介助する際の手助けになるようにお風呂介助のポイントを書いたりするのですが、そんな風に自分のしたことがご利用者様のための改善につながると、やりがいを感じますね。

サービス提供責任者としては、やや地味ではありますが、請求や書類などの事務処理が終わったときは「やったー!」って達成感があります(笑)。

――達成感、とても大事なことですね!お仕事の息抜きやリフレッシュはどんなことをされていますか。

子供と遊びに行く時間がリフレッシュになっています。一緒に釣りに行ってお魚を見るのが上の子のマイブームなので、釣り以外にも川などに出かけて魚を見つけに行ったりして楽しんでいます。

――最後に今後の目標を教えてください。

今はまだサービス提供責任者として、目の前のことをこなしていくことに精一杯な部分も多くて、ヘルパーさんが困ったときの対応に追われたりすることも多いんです。なのでそこからもう一歩進んで、私からヘルパーさんのちょっとした変化に気づき手を差し伸べられるような存在になりたいですね。

この記事を書いた人・法人について

木村智子さん

生活協同組合コープこうべ 在宅介護サービス鈴蘭台 サービス提供責任者

短時間の登録ヘルパー、非常勤のサービス提供責任者の期間を経て、常勤の福祉介護専門職員に登用。現在はサービス提供責任者としてヘルパー業務の取りまとめや介護内容の取り決めを行うほか、自身もヘルパーとして訪問介護を行っている

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